筆者:グローバルフルーツ通販担当 中条
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グローバルフルーツの中条です。
「フィリピンマンゴーはなぜ店頭に並ばなくなったのか」に関して、関係者から収集した情報を基に4回に渡って投稿します(予定)。
・第1回 フィリピンマンゴーの入荷量の推移
・第2回 なぜ入荷量が減ったのか
・第3回 産地の生産量も減少傾向なのか
・第4回 今後の輸入量は増加に転じるのか
なぜフィリピンマンゴーの輸入量が減少したのか
第2回の今回は「なぜ入荷量が減ったのか」についてです。
第1回ではフィリピンマンゴーの入荷量の推移に関して書かせていただきました。その際のグラフをもう一度掲載しておきます。
今回は、「なぜこれほどまでにフィリピンマンゴーの輸入量が減少したのか」についてです。
グラフでは分かりづらいですが、輸入量が多い期間(2014年まで)で減少率が大きいのは
1993年→1994年
2006年→2007年
の年です。その後者である2006年→2007年の減少が、以降減少した要因に大きく関係しています。
2006年→2007年に何があったのか。
それは、農薬の問題です。
「農薬の問題」と聞いて、悪いイメージをお持ちになる方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。日本に輸入するには厳しく決められた基準値の農薬しか使えないように決められています。その量に関しては、弊社の安全情報ページをご参照ください。
話をもとに戻します。2006年に農薬の問題がありました。おそらくニュースにもなっています。それは、「基準値を上回る農薬が検出された」という内容です。この年に「残留農薬等に関するポジティブリスト制度」が施行されました。その影響で農薬の基準がより厳しくなりました。
なぜ日本に輸入するマンゴーなのに基準値を上回ったのか。いくつかの要因が考えられます。
・上述のポジティブリスト制度の農薬基準値に対応しきれていない部分があった
・農薬を散布しすぎた
・日本以外に輸出するマンゴーが混ざった
・農薬散布が風の影響で多くなった
など。決して故意にというわけではありません。
そもそもなぜ農薬を散布するのか。
「害虫から守るため」がすぐに思いつくかと思いますが、もう一つの重要な理由は「雨対策」です。
産地のフィリピンは雨季と乾季に分かれ、スコールもあります。そのため雨の影響が少なくありません。果物の栽培には雨は必要です。しかし、雨が多すぎるとどうなるか。マンゴーの場合は病気に罹りやすくなります。
それは農家さんにとって「出荷できるマンゴーが減少する」というデメリットになります。
では農家さんはどういう対策をするか。それが「農薬の使用」につながります。
フィリピンは多湿で雨も多いため、菌の繁殖を抑える必要があります。そのために農薬を使用します。この農薬の使用量を日本への輸出向けに基準値内に収まっているかどうかが重要です(もちろん、その他の用途に使われる農薬が基準値内であることも重要です)。
長くなりましたが、2006年の夏頃に農薬の検査で基準値を超えたことが判明し、一時的に輸入ができなくなりました。
するとどうなるか。日本側と産地側の両面で考えてみます。
日本側としては、「フィリピンマンゴーを輸入できない→他のマンゴーを探して販売する」という流れになります。そのため、日本で輸入を供給している企業がフィリピン以外のマンゴーを輸入するようになります。
では、それより以前にフィリピン以外のマンゴーがなぜ販売されていなかったのか。
答えは「輸入ができなかったから」です。
"フィリピンマンゴーは2024年7月で輸入解禁50年目に"でも書きましたように、フィリピンマンゴーは1975年から日本に輸入することができました。しかしながら他国のマンゴーはまだ輸入できませんでした(1990年代に徐々に他国のマンゴーが輸入解禁されます)。
そのこともあって1990年代はやや落ち込むものの、2000年頃まで右肩上がりに輸入量が伸びていたという理由もあります。
一方で、産地側はどうなのか。フィリピンからは日本以外にも輸出しています。日本に輸出する場合は農家さんとしては以下のことを留意する必要があります。
・果皮が綺麗なもの
・日本からのオーダーのサイズに合わせて出荷する
・農薬の基準が他国より厳しい
いかがでしょうか。農家さんからしてみると日本向けのマンゴーの栽培は一苦労となります。
他国に輸出する場合は、
・果皮に傷があっても大丈夫
・マンゴーのサイズはあまり言われない
・農薬の基準が日本より緩和されている
であるため、農家さんとしては留意点が少ないことになります。
つまり、農家さんからすれば、日本以外に輸出するマンゴーを栽培したほうが留意点が少なく、たくさん買ってもらえるという実情があります。
そのため、日本への輸出用にマンゴーを栽培する農家さんが減っているようです。
まとめます。
・農薬の影響で一時的に輸入停止
・日本が他国のマンゴーを輸入するようになった
・日本向けにマンゴーを栽培する農家さんが減少
栽培事情はあれど、日本のフィリピンマンゴーの輸入量は減少しています。
では、産地での生産量も減少しているのか。
これについては第3回の投稿でご紹介させていただきます。
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§ 本記事の関連ページ
フィリピンマンゴーはなぜ店頭に並ばなくなったのか 第1回 (全4回)
https://globalfruit.co.jp/blogs/articles/20250420_mango-philippine-why-decrease
フィリピンマンゴーのご案内ページ
https://globalfruit.co.jp/products/mango-philippine
フィリピンマンゴーの解説ページ
https://globalfruit.co.jp/blogs/knowledge/mango-philippines